雨の日、河鍋暁斎

wkudoh2006-05-13


せっかくの週末なのに、お天気が優れません。
こんな日は家でゆっくり、本を読むのが好きです。
窓の外に広がる曇り空をしばし、忘れられるので。


最近、ある絵師の方に河鍋暁斎という画家が
いたことを教えられました。


幕末から明治にかけ、狩野派絵師でありながら戯れ画も
手がけた稀代の天才画家です。風刺画も描いたことから
「上」から睨まれ、投獄されたこともある反骨の人物でも
あったようです。
しかし、美術界で評価は難しく、死後は忘れられた存在と
なっていたそうです。


そんな波乱に満ちた人生を送った画家とは
どんな人物だったのか?

気になっていたところ、岩波文庫から「河鍋暁斎」が最近、
出版されました。
著者は鹿鳴館などを手がけた外国人建築家、
ジョサイア・コンドルです!

日本文化に傾倒していた彼は、暁英という名で弟子入りし
ていたとのこと。


外国人の弟子が見た、日本の天才画家の生涯。
おもしろくて、一気に読んでしまいました。
暁斎には、日本の伝統的な階級層によるハイ・
アートと庶民の娯楽であるロウ・アートが混在していました。

日本文化をどん欲に吸収しようとしていたコンドルにとって、
こんな格好の先生は他にいなかったのではないかと
思います。
師への愛情だけでなく、日本文化を見つめる視線が
そこにはあります。


それにしても、暁斎の絵のすばらしいこと!
帯の柄をスケッチしたくて、女中のおしりを追いかけまわした
エピソードもうなずけます。表紙の絵は、コンドルに贈られた
美人図の部分。美しいキモノがそのまま装幀となります。


今度、河鍋暁斎記念美術館へ訪れてみたいと思います。
彼の絵を、もっと知りたくなりました。
コンドルと同様、その懐に飛び込んでみたいです。